データの要約
要約は、1 つまたは複数のキー フィールドの等しい値に基づきテーブルのレコードをグループ化し、各グループのレコード数をカウントします。また、各グループに各種の統計計算を実行するオプションもあります。
複数のキー フィールド別に要約する場合は(入れ子の要約)、グループはキー フィールド全体の値の等しい組み合わせに基づきます。
キー フィールドには、文字、数値、または日付時刻があります。
1 つのキー フィールドによる要約
1 つのキー フィールドによる要約は、最も容易な形の要約です。
たとえば、取引テーブルを顧客番号フィールドに基づいて要約し、顧客別の総取引数を調べることができます。
以下の例では、入力テーブルの[顧客番号]フィールドに 10 個の値があります。一意の値もあれば、等しい値もあります。要約後、値は 4 つの一意のグループにグループ化されます。カウントにより、レコードまたは取引がいくつ各顧客番号グループにあるかが分かります。
入力テーブル | 出力結果 | |
---|---|---|
キー フィールド: 顧客番号 | 要約されたグループ | カウント |
795401 | 230575 | 1 |
518008 | 518008 | 5 |
518008 | 795401 | 3 |
925007 | 925007 | 1 |
518008 | ||
795401 | ||
518008 | ||
230575 | ||
795401 | ||
518008 |
複数のキー フィールドによる要約
複数のキー フィールドによる要約、または入れ子の要約により、データをさらに詳細に分析することができます。
たとえば、取引テーブルを顧客番号フィールドと取引日フィールドに基づいて要約し、顧客別に、その顧客が取引を行った日付ごとの総取引数を調べることができます。
以下の例では、入力テーブルの[顧客番号]フィールドに 10 個の値があり、[請求日付]フィールドに付随する日付があります。顧客番号と日付の組み合わせは、一意であるものもあれば、等しいものもあります。要約後、顧客番号と日付の組み合わせは 7 つの一意のグループに分けられます。カウントにより、レコードまたは取引がいくつ各グループにあるかが分かります。
入力テーブル | 出力結果 | |||
---|---|---|---|---|
キー フィールド 1: 顧客番号 | キー フィールド 2: 請求日付 | 入れ子の要約されたグループ | カウント | |
795401 | 08/20/2016 | 230575 | 06/13/2016 | 1 |
518008 | 10/15/2016 | 518008 | 04/30/2016 | 1 |
518008 | 07/17/2016 | 518008 | 07/17/2016 | 3 |
925007 | 05/21/2016 | 518008 | 10/15/2016 | 1 |
518008 | 04/30/2016 | 795401 | 06/30/2016 | 1 |
795401 | 08/20/2016 | 795401 | 08/20/2016 | 2 |
518008 | 07/17/2016 | 925007 | 05/21/2016 | 1 |
230575 | 06/13/2016 | |||
795401 | 06/30/2016 | |||
518008 | 07/17/2016 |
詳細な入れ子の要約
複数のキー フィールドで要約する場合、出力結果で入れ子になった要約されたグループを作成します。
入れ子の階層
キー フィールドを選択する順序が、入れ子の階層を決定します。レコードは、まず、1 番目に選択したフィールド別に要約され、次にこれら一次グループのそれぞれで、2 番目に選択したフィールド別に要約されます。
メモ
この 2 つの要約キー フィールドの選択順序を逆にすると、まったく異なる結果が得られる場合があります。
出力結果のフィールドの順序
キー フィールドを選択する順序が、出力結果に表示される列の順序になります。既存の Analytics テーブルに結果を追加する場合は、結果と既存テーブル内の列の選択と順序は同一である必要があります。
要約と並べ替え
要約では、データは並べ替えられていてもいなくても処理できます。[あらかじめ並べ替える]オプションにより、要約時にデータの初回の並べ替えを含めることができます。
[あらかじめ並べ替える]を使用する場合
[あらかじめ並べ替える]を使用する場合、出力結果は並べ替えられており、キー フィールド内の同一値セットごと、または値の等しい組み合わせごとに 1 つの一意のグループが含まれます。
ヒント
入力テーブルがすでに並べ替えられている場合は、[あらかじめ並べ替える]オプションを選択解除して処理時間を節約することができます。
[あらかじめ並べ替える]を使用しない場合
[あらかじめ並べ替える]を使用しない場合、出力結果は、入力テーブルの並べ替え順序を使用します。
キー フィールドに入っている同一の値が連続して並んでいない場合、出力結果には、同一値セットごと、または値の等しいの組み合わせごとに 2 つ以上のグループが含まれることになります。
メモ
コンテキストによっては、同一値セットごと、または値の等しい組み合わせに 2 つ以上のグループが含まれることが、要約の目的よりも優先されることがあります。
数値フィールドの小計
要約すると、任意で 1 つ以上の数値フィールドを小計できます。上記の例では、計算する取引金額フィールドを小計できます。
-
顧客ごとの総取引額
-
顧客が取引した各日付の顧客ごとの総取引額
統計オプション
指定する小計フィールドで統計演算を実行するオプションがあります。統計計算は、出力テーブルでグループ別に内訳が示されます。
上記の例では、取引金額フィールドを小計する場合、計算する統計オプションの 1 つを使用することもできます。
- 顧客ごとの平均、最小、および最大の取引金額
- 顧客が取引した各日付の顧客ごとの平均、最小、および最大の取引金額
詳細な小計と統計オプション
以下のテーブルは、小計と統計のオプションと計算に関する詳細を示したものです。
オプション | 出力テーブルの列見出し(表示名) | 出力テーブルのフィールド名 | 小計フィールドで実行された計算 |
---|---|---|---|
小計フィールド | Total + 小計対象となる代替列見出し | 小計対象となるフィールド名 | 各グループの小計された値 |
平均、最小、最大 | Average + 小計対象となる代替列見出し |
a_小計対象となるフィールド名 |
各グループの平均値 |
Minimum + 小計対象となる代替列見出し |
m_小計対象となるフィールド名 |
各グループの最小値 |
|
Maximum + 小計対象となる代替列見出し |
x_小計対象となるフィールド名 |
各グループの最大値 |
|
標準偏差、フィールドの % |
STDDEV + 小計対象となる代替列見出し |
d_小計対象となるフィールド名 |
各グループの標準偏差 |
% Field + 小計対象となる代替列見出し |
f_小計対象となるフィールド名 |
フィールドの合計の割合として表現される各グループの小計 |
|
中央値、最頻値、Q25、Q75 |
Median + 小計対象となる代替列見出し |
c_小計対象となるフィールド名 |
各グループの中央値
|
Mode + 小計対象となる代替列見出し |
o_小計対象となるフィールド名 |
各グループの最も頻繁に発生する値
|
|
Q25 + 小計対象となる代替列見出し |
q_小計対象となるフィールド名 |
各グループの最初の四分位数値(下四分位数値)
|
|
Q75 + 小計対象となる代替列見出し |
p_小計対象となるフィールド名 |
各グループの 3 番目の四分位数(下四分位数)
|
|
カウントの % | パーセントカウント | COUNT_PERCENTAGE | 各グループに属するソース テーブル レコードの割合 メモ |
その他のフィールド オプション
[その他のフィールド]では、出力に含めたい追加の文字フィールド、数値フィールド、または日付時刻フィールドを選択できます。選択したフィールドに含まれる値が、要約される各グループの全レコードに対応するものであれば、このオプションによって有用な情報を提供できます。
たとえば、テーブルを顧客番号で要約する場合、該当する「その他のフィールド」は顧客名となります。顧客名は、同じ顧客番号を持つすべてのレコードで同じです。
要約されるグループに対し異なった値を含んでいるフィールドを「その他のフィールド」として指定すると、グループの最初のレコードの値のみが表示され意味がありません。
たとえば、業者テーブルを ”州” 別に要約し、「その他のフィールド」として ”市” を選択すると、出力で、各州に対して表示される市が最初の 1 つのみとなります。このような場合、州と市の両方をキーフィールドとして(州、市の順番で)要約を行うことをお勧めします。
要約の対象
以下の例は、顧客番号と取引の種類に関して売掛金テーブルを要約した結果を示したものです。取引金額が一部の関連付けられた統計と共に小計されています。結果が画面に出力されています。
この例では、ACL DATA\Sample Data Files\Sample Project.ACL における Ar テーブルからの顧客番号のサブセットを使用しています。
要約の詳細
要約では、次の操作を実行します。
操作 | 上記の要約の対象の場所 |
---|---|
1 つ以上の文字、数値、または日付時刻のキー フィールドで、等しい値、または値の等しい組み合わせに基づきレコードをグループ化する | 顧客番号 フィールド 取引タイプ フィールド |
任意で、グループごとに 1 つ以上の数値フィールドの小計を計算する | 総取引額 フィールド |
任意で、各小計された数値フィールドで統計計算を実行します | 平均、最小、および最大取引金額フィールド メモ 追加統計計算が表示されません |
各グループに属するソース テーブル レコードの割合を任意で計算する | カウントの割合フィールド |
グループごとにレコード数をカウントする(小計する) | カウント フィールド |
任意で、補足的な情報として文字フィールド、数値フィールド、または日付時刻フィールドを追加表示する | Name フィールド |
出力結果に含まれる全数値フィールドの合計を提供する メモ [合計]行は、結果が画面に出力される場合のみ提供されます。 |
合計行 |
手順
1 つ以上の文字フィールド、数値フィールド、または日付時刻フィールドの等しい値、または値の等しい組み合わせに基づいてテーブル内のレコードをグループ化することによって、データを要約することができます。
任意で関連付けられた数値フィールドを小計できます。指定する小計フィールドで統計演算を実行することもできます。統計演算の結果は、集計された出力テーブルでグループ別に内訳が示されます。
- [メイン]タブで、次のいずれかを行います。
[要約の対象]リストから、要約の対象となるフィールドを選択します。
[要約の対象]をクリックして、フィールドを選択するか、または式を作成します。
メモ
複数のフィールドを選択すると、出力結果に、入れ子になった要約されたグループが作成されます。詳細については、詳細な入れ子の要約を参照してください。
-
省略可能。[小計フィールド]を 1 つ以上選択するか、または[小計フィールド]ボタンをクリックして、小計フィールドを選択するか式を作成します。
小計フィールドを選択する順序は、列が結果に表示される順序になります。既存の Analytics テーブルに結果を追加する場合は、結果と既存テーブル内の列の選択と順序は同一である必要があります。
- 省略可能。次のいずれかを実行します。
[その他のフィールド]リストから、出力結果に含めるその他のフィールドを選択します。
[その他のフィールド]をクリックして、フィールドを選択するか、または式を作成します。
メモ
各要約グループ内のすべてのレコードが同じ値を含んでいるフィールドに対してのみを選択してください。詳細については、その他のフィールド オプションを参照してください。
- 要約対象のフィールドが既にソート済みであれば、[あらかじめ並べ替える]を選択解除することもできます。
メモ
ソートされていないフィールドの要約も可能ですが、同じ値に対して要約されたグループが複数生じる結果となる可能性があります。
分析の性質によっては、ソートされていないフィールドを要約することが適切な場合もあります。
-
現在のビューの中に処理から除外したいレコードがある場合は、[If]テキスト ボックスに条件を指定します。直接入力するか、または[If]ボタンをクリックし、式ビルダーを利用して IF ステートメントを作成します。
メモ
If 条件は、任意の範囲オプション(First、Next、While)が適用された後に、テーブルに残るレコードに対してのみ評価されます。
IF ステートメントは、ビュー内のすべてのレコードを判断し、指定された条件を満たさないレコードを除外します。
- 省略可能。1 つ以上の統計オプションを選択し、小計フィールドで統計演算を実行します。
平均、最小、最大
標準偏差、フィールドの %
中央値、最頻値、Q25、Q75
カウントの %
詳細については、統計オプションを参照してください。
メモ
統計を含めるには、少なくとも 1 つの小計フィールドを選択する必要があります。
カウントの % には小計フィールドは必要ありません。
これらの統計を計算するには、追加のコンピューター メモリが必要です。非常に大きいデータ セットの統計を計算すると、コンピューターのメモリを超過し、エラー メッセージが表示される場合があります。
- [出力]タブをクリックします。
- [出力先]パネルで、適切な出力オプションを選択します。
- 画面 – Analytics の表示領域に結果を表示するには、このオプションを選択します。出力レコードに多数のレコードが含まれている場合は、結果を画面に表示するよりファイルに保存した方が、処理が速く便利です。
- 印刷 – デフォルトのプリンターに結果を送信するには、このオプションを選択します。
- グラフ – 結果を基にグラフを作成し、それを Analytics 表示領域に表示するには、このオプションを選択します。
- ファイル – 結果を Analytics テーブルに保存または追加するには、このオプションを選択します。テーブルがまだプロジェクトに存在しないときは、開いているプロジェクトに追加されます。
メモ
当該の分析操作に対して適用されない出力オプションは無効になります。
- 出力の種類として[ファイル]を選択した場合は、[出力指定]パネルで次の情報を指定します。
- ファイルの種類 – オプションは "Analytics テーブル" のみです。結果を新しい Analytics テーブルに保存するか、または既存の Analytics テーブルに追加します。
- 名前 – [名前]テキスト ボックスにテーブル名を入力します。もしくは、[名前]ボタンをクリックして、[保存]または[ファイルを保存する名前]ダイアログ ボックスでテーブル名を入力するか、既存のテーブルに上書きまたは追加する場合はそのテーブルを選択します。Analytics によってテーブル名があらかじめ設定されている場合は、その設定されている名前を受け入れることも、あるいは変更することもできます。
また、絶対ファイル パスや相対ファイル パスを指定したり、別のフォルダーへ移動したり、プロジェクトの場所以外の場所にテーブルを保存したり、その場所にあるテーブルに追加したりすることもできます。たとえば、C:\Results\Output.fil または Results\Output.fil のように指定します。
- ローカル – サーバー テーブルに接続している場合のみ有効になります。プロジェクトと同じ場所に出力テーブルを保存する、パスを指定する、または別のローカル フォルダーへ移動する場合は、[ローカル]を選択します。サーバーの Prefix フォルダーに出力テーブルを保存する場合は、[ローカル]を選択解除されたままにしておきます。
メモ
出力結果が AX Server テーブルの分析や処理から生成される場合は、[ローカル]を選択します。結果テーブルを AX Server にインポートするために[ローカル]設定を選択解除することはできません。
- 出力の種類によっては、任意で[ヘッダー]および[フッター]をそれぞれのテキスト ボックスに指定できます。
デフォルトでは、ヘッダーとフッターは中央揃えで出力されます。ヘッダー テキストやフッター テキストを左揃えにするには、テキストの前に始め山かっこ(<)を入力します。複数行のヘッダーやフッターを入力する場合は、[ヘッダー]または[フッター]ボタンをクリックします。あるいは、ヘッダーまたはフッターのテキスト ボックスで、改行文字としてセミコロン(;)を入力してもかまいません。複数行を左揃えにするには、各行の先頭に始め山かっこが必要です。
- [詳細]タブをクリックします。
- [適用範囲]パネルで、適切な出力オプションを選択します。
- すべて – デフォルトで、このオプションが選択されます。ビュー内のすべてのレコードを処理するように指定するには、選択されたままにしておきます。
- 先頭 – このオプションを選択してテキスト ボックスに数を入力すると、ビュー内の先頭レコードから処理が開始され、指定した件数のレコードのみが処理対象とされます。
- 次 – このオプションを選択してテキスト ボックスに数を入力すると、ビュー内で現在選択されているレコードから処理が開始され、指定した件数のレコードのみが処理対象とされます。行内のデータではなく、左端の列の実際のレコード番号が選択されている必要があります。
- While – WHILE ステートメントを使用して、特定の条件または条件のセットに基づいてビュー内のレコードの処理を制限するには、このオプションを選択します。[While]テキスト ボックスに条件を入力するか、または[While]ボタンをクリックし、式ビルダーを利用して WHILE ステートメントを作成することができます。
WHILE ステートメントでは、指定した条件が true と評価される間のみ、ビュー内のレコードを処理することができます。条件が false と評価されるとすぐに処理が終了し、それ以上レコードは判断されません。While オプションは、"すべて"、"先頭"、または "次" オプションと組み合わせて使用することができます。1 つの制限に達するとすぐに、レコードの処理が停止します。
メモ
"先頭" または "次" オプションで指定されたレコード数は、テーブル内の物理的な順番またはインデックス順のレコードを参照するもので、ビューに適用されたフィルターやクイック ソートは一切無視します。ただし、分析操作の結果ではすべてのフィルターを考慮します。
ビューでクイック ソートが実行されている場合、"次" は "先頭" のように動作します。
- 出力の種類としてファイル(Analytics テーブル)を選択した場合は、操作の完了時に、出力結果を含む Analytics テーブルを自動的に開くようにするかどうかに応じて、[出力テーブルを開く]を選択または選択解除します。
- 出力の種類として[ファイル]を選択した場合、出力結果を既存の Analytics テーブルの末尾に追加するときは、次のいずれかを行います。
出力結果と既存のテーブルの構造がまったく同じであることがわかっている場合は、[既存のファイルに追加する]を選択します。
出力結果と既存のテーブルのレコード長を Analytics に比較させたい場合は、[既存のファイルに追加する]を選択解除されたままにしておきます。レコード長が同一でなければ、データ構造は同じではなく、追加は正しく動作しません。
メモ
出力結果と既存のテーブルの構造が同一であるかどうかが不確かな場合は、[既存のファイルに追加する]を選択解除されたままにしておくことをお勧めします。追加およびデータ構造の詳細については、Analytics テーブルおよびテキスト ファイルへの結果の追加を参照してください。
- [OK]をクリックします。
- 上書きを確認するメッセージが表示されたら、適切なオプションを選択します。
[最後に追加]オプションが表示されることを期待していたのに表示されない場合は、[いいえ]をクリックして操作をキャンセルし、Analytics テーブルおよびテキスト ファイルへの結果の追加を参照してください。